『短編:ついでのメリークリスマス』
私より二つ年下の妹は中学2年生だ。渋る母に必死でねばり、結局お泊りの許可を手にした。
本当に愛ちゃん家なのか、あやしいもんだが。
「お姉ちゃんはどうするの?彼氏とデート?」
頼むから、私に話題を向けないでくれないかなと思いつつ、
「うん、まぁ」
と力なく返事をすると、彼氏というキーワードに母がすばやく反応した。
「彼氏もいいけど、あんまり遅くなっちゃダメよ。
まぁクリスマスだし、多少羽目をはずすくらいはいいと思うけど。
お父さんが帰ってくるまでには家に戻ってなさいよ」
「わかってるって」
私ももうすぐ16歳だ。
別に今更、家族そろって誕生日を祝ってほしいわけじゃない。
ただ繁忙期を理由に、れっきとしたお店で誕生日ケーキの予約を断られる身としては、
少々クリスマスという存在が恨めしいだけだ。
・・どうせ、みんな忘れてんだよね。