蝉の恋
冗談でなくては困る。

セフレは見知らぬ誰かだからセフレになれる。

知っている誰か、例えば友達なんかとセフレになったら関係が崩れてしまうだろう。

崩れたら二度とは戻らない。

友達という関係といえど、男女の関係なんてそんなものだろう。

そんな事が頭をよぎった時、視界の隅を二人の男女が店外に向かい歩いていくのが見えた。

よくと見てみればイッキコールをしていたテーブルの男女だった。

「成功したみたいだな」

俺の呟きに目の前の女は俺の視線の先を確認し、ニヤつきながら言った。

「セイコウするのはこれからでしょ」

……。

「まぁ、間違ってはないが…」

……どの漢字を当てはめてんだ。コイツは。

「とりあえず、あの雄蝉は上手に雌をゲットしたわけね」

言いながら、がんばって~。とでもいうようにヒラヒラと手をふる。

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