蝉の恋
やがて私が泣き止んだ頃、彼は言った。

「落ち着いた?」

「うん、落ち着いた」


「それで?」

彼はそれだけ言う。

それから私はセフレに言われたことを話始める。


その後はちょっとしたお説教タイム。

「だから言っただろうが、セフレなんて作る男はロクな男じゃないって…」

彼のお説教は少しくどい。

お前にはセフレは合わないとか、だから辞めとけって言っただろとか、何度か聞いたことがまた繰り返される。


私はその一言一言をちゃんと聞く。

そして、彼に言った。

「わかった、お兄ちゃん。」

親身になって色々と言ってくれるのが心地よかった。

恋人とも違う、セフレとも違う。だけど、それよりももっと近くにいる感覚。

「俺に妹がいた記憶はないんだが?」

彼がそんなことを言っているけど、気にはしない。


「おじちゃんがよかった?」

……。

彼は、いいや、と妹の存在を認めることにした。

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