蝉の恋
「それに…。」とトシアキは続ける。

「俺の知り合いじゃなくても、知り合いの知り合いだったら困るからな…。」

と、詳細な質問を繰り返してきた。

答えるには答えるけど、少し心配のし過ぎじゃないかと思う。

そんなに知り合いとバッタリと鉢合うほど世間は狭くない。

まぁ、それくらい慎重な人だからこっちも安心して関係を結べるわけだけれど…。

それから数分後、トシアキは、大丈夫そうだとOKを出した。

「じゃ、善は急げ、ということで…。」

携帯を取り出し、電話をかける。３コール目で相手はでた。

「ちわス。ネエさん。どうしました？」

電話の相手は少し体育会系のノリ。夜なのに、ちわスという挨拶もその影響だと思う。

「例の件、もう一人もOKでたよ。

って、訳でさぁ。これから来れない？」

コイツはトシアキみたいに考え込むことはない。

だから二つ返事で、今から支度する旨を伝えてきた。

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