蝉の恋
「アイツが『よかったらどうですか?』だってよ。ご丁寧に赤外線で送ってきたよ。名前、年齢、職業つきでな」

トシアキは少しイラついたように煙草の煙を吐き出した。

それは…ダメだろう。

セフレがいるなんてこと、大っぴらにしている人なんかいない。

だから、その相手の情報は外には漏らさないのが当たり前。

それがセフレに対する最低限のルール。

それを他人に渡すなんて…。

「バカね」

それに私がその子の立場で、同じことをされてたら絶対にキレる。

私は携帯を操作してその子の画像を削除する。

トシアキはそれを黙って見ていた。

「アレとはもう会わないわ。

情報ありがと。

ところで、そんな話いつの間にしていたの?」

私の問いにトシアキは「お前が失神してる間」と答えてきたから、携帯を投げつけてやった。

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