蝉の恋
「アホなこと言ってないでとっとと服着てくれ」

その言葉、待ってました。

「OK。もうアイマスク外しても大丈夫」

アイツの言葉が切れると同時に言ってやる。

「流石」

そう言ってアイマスクを外したアイツは、アタシを少しの間じっと見つめて再びアイマスクをしてゴロンと背中を向けた。

「ん?何?」

「身支度整ったら起こしてくれ。

タオルは干してるヤツ使っていいから」

……?

あぁ。

寝癖で髪が凄いことになってるね。

たぶんメイクも…。

ここは…お言葉に甘えてシャワーを借りますか。


タオルを取ってバスルームに入ると、当然の様にメイク落としと女性用の洗顔剤が置いてあった。

彼女には後で誤解の無いように断っておいた方が良いかな。

少し借りた位で気付くかどうかは分かんないけど…。
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