こいのうた
やっぱり唯人君の笑顔は落ち着く。
これが“唯人君”って感じで。
「夜深?」
「はい」
「一つ、言ってないことがあった。言ってもいい?」
言ってないこと?
唯人君は私に何か隠し事をしているの?
だったら、聞きたくない。
「……」
私が押し黙ると、唯人君は私の顔を覗き込んで私を見つめた。
そして、ゆっくりと顔を近づけて、優しく
キスをした。
「夜深。俺と、付き合ってください。」
「……え…」
「好きって言っても、これは言ってなかった。」
あ……確かに。
「夜深、返事は?」
「…っ……」
涙が、零れた。
だって、ずるいよ唯人君。
さっきまで震えてたのに…
急にそんなこと言うなんて、ずるい。
「夜深…俺のこと、好き?」
「っ…うん…」
「じゃあ、返事して?俺と付き合ってください。」
私は唯人君の顔を見上げた。
「はい…」
私は頬を伝わる涙を拭ってそう返事をした。