こいのうた
唯人君が私を私の部屋のベランダに戻してくれたので、急いでシャワーを浴びに行った。
「……ふぅ…」
本当…唯人君にはかなわない。
心臓がもたないよ…
汗を流した私は、脱衣所に出て体を拭くと、すぐに着替えて唯人君の部屋へ向かった。
コツコツとドアをノックする。
「…夜深?」
ノックをしたドアが開いて、唯人君が顔を出す。
「髪も乾かさないで来たの?風邪ひくだろ?ほら、入って」
唯人君は、濡れた私の髪を一撫ですると頬に唇を寄せて部屋の中に私を引っ張った。
「ほら、ここ座って」
部屋に入ると、入り口で立ち尽くす私に、唯人君は微笑み
あぐらをかいた自分の足をポンポンと叩いた。
「…い…いいの?」
「うん。おいで…」
優しい声で呼んでくれたから、私は駆け寄って、ちょこんと唯人君の膝の上に座った。
「重くない?」
「平気!」
唯人君はドライヤーのコードをコンセントに差し込みながら笑った。