こいのうた
唯人君に会うのが何だか気まずくて、自分から学校に行かなかったのに…
私っていつも勝手…
「夜深を悲しませたくないよ俺は。だから、ちゃんと断ってすぐ教室に戻ったよ。抱きつかれる暇なんてなかったし。」
唯人君は優しい声色でそう言った。
この声…
唯人君のこの声、大好き。
優しく耳に響いて、低い声なのに、綺麗なの。
笑い声も歌みたいで…
この声で本当に歌なんか歌われたら、感動して泣いちゃうと思う。
「…唯人君…」
「ん?」
「ごめんなさい。焼きもちばかりで…唯人君を信じてないみたいで…」
私は唯人君に強く抱きつきながら、ギュッと目を閉じた。
「…焼きもちは、俺も焼くよ。嫉妬なんてしょっちゅう」
「嘘だ…」
「ほんと」
「……うーん…」
私は勢い良く顔をあげて唯人君を見つめた。
「夜深…好きだよ。本当は俺以外の男と話しても欲しくない」
「私だって…!」
私がムキになると唯人君は何も言わずに微笑んで、倒れている自分の体と私をゆっくりと起き上がらせた。