こいのうた
突然起き上がった唯人君に少しびっくりして、思わず私は唯人君の目を
じっと見つめた。
「…ハァ……夜深~…」
「?」
「俺、ダメだ」
「ダメ…?」
何が?
まさか、私が?
「何が……わっ!」
唯人君の顔を覗き込んだとき、急に唯人君に抱きかかえられた。
「唯人君!!」
「ん?」
ん?
じゃなくて!
いつになっても、この“お姫様抱っこ”は慣れない。
恥ずかし過ぎる。
「唯人君!おーろーしーてー」
私は恥ずかしくて、唯人君の腕の中でジタバタと暴れた。
だけど唯人君はクスクスと笑いながら、歩みをどこかへ進める。
「はい、降ろしました」
「っ~~!」
やっと降ろされたけど、そこは……
「ベッド…」
「夜深がかわいいからいけない」
「理由になってないよ」
「…じゃあ本音言うよ……」
唯人君は私の耳元で、吐息をかけながら囁くと
私を押し倒して首もとにキスをした。