こいのうた


唯人君は私の頭を撫でながら、話しはじめた。





「……雅人は俺の双子の兄貴。今まではアメリカに行ってたんだ。アメリカにいる、母さんの所に…」




「え…お母さん…?」





お母さんって…亡くなってるんじゃ……




「……うん。夜深には言ってなかった。アメリカにいるのは俺の本当の母さんでもあって、雅人の母さん」




「…ごめん…わかんない…」




「うん。複雑だからね」




唯人君は、眉間にシワを寄せる私にクスクスと笑って言った。



「俺、養子に出されたんだ。父さんが引っ越してから1年後に死んだんだ。あの時はよく分からなかったけどタバコのせいで肺癌だったんだってさ。それで、親戚で子供がいない夫婦がいて…“女手一つで男の子二人は大変だろう”って言われて…母さんは俺を養子に出した。」





そう話す唯人君は血が出るんじゃないかっていうくらいに唇を噛み締めていた。






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