こいのうた

唯人君は黙ったまま雅人君を睨んでいる。



「夜深が了解したんだ。別に唯人には関係ないだろ？」




雅人君は自分を睨む唯人君にへらっと笑ってみせた。




「関係ないわけないだろ。夜深は話を聞いてなかったじゃないか。お前が勝手に了解したって解釈しただけだ。」



「ふーん…勝手かあ…」



「勝手だよ。それに…俺にも関係はある。夜深の恋人は俺だ」



唯人君は更にきつい眼差しを雅人君に向けて言った。




「知ってるよ。だから俺は返してもらいに来たんだ。」



「返す？」



「ああ…夜深を返せ。」




何だか険悪なムードになってしまった。




どうしよう…




これ以上、二人は憎み合っちゃいけないのに…




「っ…あの…さ」




思い切って、私は声を張り上げた。




二人の視線が同時にこちらへと向く。




う…



話…しずらい…





でも…言わなきゃ…