こいのうた
遊園地に着くと、雅人君は当たり前のようにタクシー代を払ってくれた。
半分返すと言っても受け取ってくれなかった。
「まずはどこ行こーか?あ、夜深!お化け屋敷!」
「や、やだ!」
「大丈夫だって!ほら、行くぞー」
雅人君は強引に私の手をつかんでずるずると引きずるようにお化け屋敷へと入って行った。
「ま、雅人君!私、こう見えてお化け屋敷苦手なの!」
「平気だって」
「全然平気じゃない!」
私は半べそをかきながら雅人君の袖をキュッと掴んだ。
そのとき、
お化けがわーっと不気味な声を出して私に近づいてきた。
「っきゃーーー!もう無理ー!」
私は雅人君から離れて、ギュッと目をつむりながら走った。
もう最悪。
くるんじゃなかった。
雅人君なんて大嫌い。