こいのうた


て……



勢いで走ってきちゃったけど


「…ここ、どこ?」


気づけば私は真っ暗なお化け屋敷の中、迷子になっていた。



「……真っ暗…それに一人…」


お化けがお客を驚かしてびっくりした人のきゃーっという悲鳴が遠くから聞こえる。


「……」

なんで私、暗闇に怯えてるんだろう。



なんで私、一人が嫌なんだろう。



ずっと真っ暗の中出歩いて

真っ暗の中電話も手紙も待って


一人でいたのに。



いつからかな。


暗闇も


一人ぼっちも



怖くてたまらなくなっちゃった…



「っ…」



唯人君…


唯人君がいつもいてくれたからだね。


こんなに弱虫になっちゃったよ、私。


私は怖くて、その場にしゃがみこんで涙を流した。


助けて…


誰か…


怖いよ……


誰か…


唯人君……!


「っ…唯…人…く……」


ケンカなんかするんじゃなかった。


なんで私はいつも…



「夜深!」


「っ…!」



突然呼ばれた名前にびくっとなって顔を上げた。








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