こいのうた
「はぁ…こんなとこにいた……」
「…ま、さと…くん…」
慌てた様子で雅人君は私に駆け寄った。
「足、速いな。ははっ…こんなとこまで来たの?」
「……っ…ぅ…雅人く…ん」
私は雅人君の笑顔を見てほっとしてしまったのか、普段ならあり得ないけど、雅人君にぎゅっとしがみついて、声をあげて泣いた。
「…お化け、怖かった?」
私はこくりと頷いた。
「ごめん…ごめん、夜深…」
雅人君は私を優しく抱き締めて、ぽんぽんと頭を撫でてくれた。
…お化けが怖かっただけじゃないよ。
寂しかったんだよ。
真っ暗なのも一人ぼっちなのも怖くなったの。
でもね、雅人君が来てくれて
ほっとしたら、また涙が溢れ出して止まらなくなったんだ。