こいのうた


「…み …やみ……」


ぎゅーっと目を瞑る。


「夜深」


「……へ」



「もう外出たけど?」


「へ……え、あ…きゃあ!」


私は雅人君の腕を強く掴んでいた自分の腕を慌ててほどいた。


「ちぇ。そんな慌てて放さなくてもいいのにー」


「と、友達だから!」


言われて顔が熱くなるのがわかったから、私はつんとした態度でそう言い切った。


そんな私を見て、雅人君はクスクスと笑っている。


「ほんと、夜深はおもしろいな。昔から、変わらないよ。」


「…昔から……」


あんまり、覚えてないんだよね。そう言われても。


「うしっ、次はメリーゴーランド行くか!」


「え!?メリーゴーランド!?」


「いいからいいから~」


有無を言わせず、雅人君は私を引っ張っていく。

強引すぎる…



双子なのに、ほんと唯人君とは全然違う。


でも、なんでかな…


「ふふふ…」


嫌じゃなくなってる自分がいる…







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