こいのうた

ガチャンーー


「二名様ですねー!一周30分になりま~す!」


あまり人がいなかったので、すぐに順番が廻ってきた。


「いってらっしゃ~い!!」


係員の女の人の甲高い声に送られて、私たちは観覧車に乗った。



「……どうして?」


「ん?」


私は窓に片手をつけて、外を見た。


「どうして、観覧車にきたの?」


私が呟いたんだけどさ…



「だって、ずっと乗りたそうにしてただろ?」


「……」


そうか…乗りたそうに、見えてたんだ。



「……」


「夜深?」


急に黙った私に雅人君が呼びかける。



「あのね」


「うん…」


「私のお父さんとお母さん、観覧車で出会ったの」

「…観覧車で?」


私は頷いて、雅人君に微笑んだ。










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