こいのうた

一人にしないで

「はいどうぞ。お姫様」


そんなふざけた口調で唯人君は私を先にタクシーに乗せた。



そして後から自分も乗り込むと、運転手さんにマンションまでの行き先を告げて


ふぅ


と息を吐いた。



「……唯人君…」



「ん？」



「…何でわかったの？私の居場所」



あんな遠くにいたのに



何で……



「んー…愛の力かな…？」



「……」



「……嘘。」



唯人は少し悲しく微笑むと、膝の上に置かれた私の手をギュッと握りしめた。




「夜深は、絶対遊園地に行くと思ったから。」



「……っ…何で？」



「…だって夜深は…」



唯人はそこまで言うと、ハッとしたような顔をして口をつぐんだ。



「……何？」



「いや、だから!愛の力だよ!」



「……そう」



唯人君が少し怒ってる気がする。



あと……



悲しんでる。



唯人君…



ごめんなさい。