こいのうた
第3章
嫉妬
人が人に嫉妬するのを見るのは、ちょっぴり楽しい。
嫌な奴って言われるだろうけど。
でも、自分自身が人に嫉妬するのは好きじゃないの。
私。
「……あ…」
「お!」
学校へ行く支度をしてエレベーターに乗るところで、ばったり唯人君に会ってしまった。
「おはよう夜深!」
「おはよう…」
彼は何事もなかったかのように私にあいさつをした。
この笑顔を見ると、最近チクチクと胸が痛む。
私……どうしちゃったのかな…
「夜深、エレベーター来たぞ~」
私が俯いていると、唯人君が私の肩を叩いてそう言った。
「うん…」
私と唯人君は静かにエレベーターに乗り込んだ。