こいのうた
唯人君は私の膝に置いた手を、キュッと上から握りしめた。
ピクッ
思わず手が動いてしまった。
「夜深……俺…言いたいことがあるって言った…」
「うん」
「俺……」
ドキン
ドキン
ドキンーー
「俺……夜深が好きだよ。」
ドキン
ドキンーー
「だから明日も一緒にいてあげたいんだ。でも……」
唯人君は私の手に重ねた自分の手に力を込めた。
「…明日は……両親が亡くなった日なんだ。」
…………え?
「ご両親が?」
私は目を大きく見開いて聞き返した。
「うん。事故だったんだ。俺がまだ十歳にもなってなかった。小学校三年生のときに。」
「……」
信じられない。
というのが本音。
いつもニコニコして過ごしている唯人君に、そんな過去があったなんて……
「ごめん…。夜深よりそっちを優先させるけど……」
「……ううん。平気だよ。一日くらい…平気だから…」