こいのうた


唯人君は震える私を優しく抱きしめた。




「夜深……」




「ごめんなさい…」




「夜深……それって……俺はどう捉えればいい?」




「……?」




私は唯人君のその言葉に、顔を上げた。




「…俺……ちょっと嬉しいかも。いや…かなり……」




「唯人君…」




「…夜深……さっきも言ったけど、俺は夜深が好きだよ。」




「……」




「……夜深は、俺のこと…どう思ってる?」




「え…」





唯人君は真剣な表情をして、私を見つめた。




どう思ってる……って…




そんなの…



好きに決まってるじゃない。




でも……





「っ……わかん…な…い…」




「夜深……」




本当のことは、言えないよ。



言えない。




だって、私…




好きって思っても



愛がわからない。




「…ごめんなさい……も…やだ…」




「……」








< 79 / 268 >

この作品をシェア

pagetop