こいのうた
唯人君は私を抱きかかえたまま、クルクルと回り出した。
「わっ…キャッ…ちょっと!!唯人君…!!」
「夜深!!俺のこと……どう思ってる?」
クルクル
クルクル
「っ……」
「やーみっ」
「……」
「夜深?」
クルクル
クルクル
ドサッーー
ドサッ?
「あー…ごめん…頭打ってない?」
どうやら、クルクル回りすぎて唯人君は倒れたみたいだ。
「うん。平気。唯人君は?」
「平気だよ。」
「そう…良かった……」
私は微笑んで、立ち上がろうとした。
けれど
「ダメ。」
そう言って唯人君に引っ張られた。
ダメ。って…
私は、この体制が恥ずかしくて立ち上がろうとしたのに、唯人君に引っ張られたことで
唯人君の下に私がいる。
という、さっきよりも恥ずかしい体制になってしまった。