たった ひとつの 恋
「せっかくみんなで集まったんだし、プリクラ撮ろう」という礼の提案で、私達はゲームセンターに来ていた。
目的のプリクラを撮り終えると、広海と大輔先輩は車でレースを始め、礼と春くんはクレーンゲームを始めた。私と亜季と実久はベンチに座って喋っていたが、退屈だし3人でプリクラを撮ることにした。
あれこれ撮っていると、急に人が入ってきた。広海だった。
「どこに行ったのかと思った。探したぞ」
そういうと、少し寒くなって羽織っていたパーカーのフードに何かを入れた。
「え?何?」
私は手を後ろに回してフードのなかに手を入れると、ピアスを持ったぬいぐるみが入っていた。
「景品。おまえピアスしてるから」
ぶっきらぼうにそれだけ言うとまたどこかに行ってしまった。
手にしたぬいぐるみは、暖かかった。