たった ひとつの 恋
「よお」
大輔先輩に案内されて着いた先に、バイクに乗ったままの広海がいた。
「広海さん!今着いたの?」
礼が駆け寄って聞いた。
「そう。会社に寄ってたから」そう言って、礼に紙袋を渡した。中にはケーキが箱一杯に詰められていた。
「甘いもの好きって言ってたから。俺は嫌いだけど」といってバイクから降りてチラリと私のほうを見てタバコに火をつけた。
覚くんも待っているからと、私達は部屋へお邪魔することにした。
「髪、長くなったな」
私の後ろを歩いていた広海が、私の肩の下で揺れる髪を不意に触った。
「伸ばそうかなって思ってたんだけど、痛んじゃってるから切ろうかな」
中学からずっとショートだった私は、サトルと別れてから髪を伸ばし始めた。“なんとなく”な恋愛をしていた頃と何でもいいから変わりたかった。
「切るなよ。長い髪が好きなんだ」
広海の言葉に、私は心がチクっとなった。前に会った時に、春くんから見せてもらった写真に写っていた女の子、“広さんの元カノだよ”と春くんは教えてくれた。茶色の長い髪だった。
「元カノが髪が長かったから?」
私は聞いた。広海は一瞬、驚いた顔をしたが、
「春が言ったんだな」
と舌打ちして横を向いてしまった。
「そんなのじゃなくて、ただ好きなだけだよ。あいつも長かったけどな」
大輔先輩に案内されて着いた先に、バイクに乗ったままの広海がいた。
「広海さん!今着いたの?」
礼が駆け寄って聞いた。
「そう。会社に寄ってたから」そう言って、礼に紙袋を渡した。中にはケーキが箱一杯に詰められていた。
「甘いもの好きって言ってたから。俺は嫌いだけど」といってバイクから降りてチラリと私のほうを見てタバコに火をつけた。
覚くんも待っているからと、私達は部屋へお邪魔することにした。
「髪、長くなったな」
私の後ろを歩いていた広海が、私の肩の下で揺れる髪を不意に触った。
「伸ばそうかなって思ってたんだけど、痛んじゃってるから切ろうかな」
中学からずっとショートだった私は、サトルと別れてから髪を伸ばし始めた。“なんとなく”な恋愛をしていた頃と何でもいいから変わりたかった。
「切るなよ。長い髪が好きなんだ」
広海の言葉に、私は心がチクっとなった。前に会った時に、春くんから見せてもらった写真に写っていた女の子、“広さんの元カノだよ”と春くんは教えてくれた。茶色の長い髪だった。
「元カノが髪が長かったから?」
私は聞いた。広海は一瞬、驚いた顔をしたが、
「春が言ったんだな」
と舌打ちして横を向いてしまった。
「そんなのじゃなくて、ただ好きなだけだよ。あいつも長かったけどな」