たった ひとつの 恋

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3年生になって初めてのテストが終わった頃、少しでも長く遊べるようにと、広海達が私達の住んでいる街まで来てくれることになった。
覚くんが運転する車に広海と春くんが乗っていた。大輔先輩は会社説明会があるらしく、終わったら寄ってくれるらしい。
「覚くんの車、莉子がかわいいって言ってた車だ~」
「やっぱりかわいい!」
私と、彼氏の影響で車が好きな実久は2人で車を食い入るように見てはしゃいでいた。
「運転はさせてあげれないけど、助手席で良かったら乗ってみる?」
覚くんが言った。
「やったじゃん、莉子!乗せてもらいなって」
「いいの?!」
私と覚くんは少し辺りを走ってからみんなと合流することになった。


「莉子ちゃん、彼氏できた?」
ゆっくりと車を走らせながら覚くんが言った。
「全然」
覚くんには“全然”と言ったが、仲の良い先輩から告白されていた。ゆっくり考えてと言われ、返事をしていない。
「広海がさ、今度は年下の女の子と付き合いたいんだって」
突然広海の名前が出てきたことに驚いて私は覚くんの顔を見た。
「気になる子がいるらしいよ。いつもはすぐに言うのに、今回はどんな子なのか全然言わないんだよね」
「そうなんだ」
私は、どんな顔をしていいのかわからなくなって覚くんから顔をそらして外を見た。

広海がそんなに想ってる子がいるなんて…


ギュッと喉を掴まれているような、そんな息苦しさを覚えた。

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