たった ひとつの 恋
「やっぱ、会いたいときにすぐ会える方が良いんだってさ。飛行機で1時間は近くないんだって」
と、広海はタバコに火をつけながら笑っていった。
「…莉子ちゃんって、怖いもの知らずだねー」
覚くんと大輔先輩があっけに取られて呟いた。


広海のことは、みんながいうほど怖くなかった。もちろん、みんなも本当に怖がっているわけじゃない。ただ初対面の人は、あまり話さないらしい。
広海は通りがかりの人を殴ったり、『気にくわない』とケンカを始めたり…そういうことが日常茶飯事らしい。
この日も、ケンカに発展しそうな瞬間はあったけれど『女の子が一緒だから』と、相手にしなかった。



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