†神様の恋人†
開かれたドアに向かって思い切り体当りする。

でも入ってきた男性の胸に思い切りぶつかってわたしはよろけた。

「おっと」

腕をがっしりとつかまれ引き寄せられたわたし。

服装の感じから、中年の男のように見えた。

「…やっ…離して!!」

ばたばたと全身を動かすが、強い力で抑え込まれる。

終いには最後の天国への出口もバタンと音をたてて閉ざされてしまった。

外から鍵をかける音にわたしは絶望的な気持ちになる。

……シセが鍵をかけたんだ。

それでも激しく抵抗するわたしを男は無理矢理抱き上げると、ベッドの上にわたしを押し倒した。

「…っやぁああああ――――!!!」

叫びながら、初めて男の顔を見た。

目の周りを目の部分だけくり抜いた黒いマスクで覆い、口ひげをたくわえたその男は、よく見ると肌も綺麗で、思っていたよりずっと若い。

でも、この青い瞳を確かに覚えている。

……フランスの青い空のようなブルー。

「やっぱり娼婦にはなれないな、ミシェル」



…………カミーユ―――――!!!






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