†神様の恋人†
「…ど…して…ここに?」

カミーユがわたしをベッドの上に抱き起す。

「昨夜オレを眠らせた娼婦が君がつかまったことを教えてくれてね。今夜君が客を取らされることも知った。で、変装して君を娼婦として買ったんだ」

「でもどうして彼女がそんな親切を?」

「さぁね。オレは振られたらしいよ」

そう言ってカミーユは皮肉気に笑う。

「で?どうする?ここはあと2時間は開かないけど?」

ニヤリ、と不敵な笑みを見せると、カミーユはわたしの左頬に触れた。

「…腫れてる」

……さっきシセに打たれた頬に優しく触れるカミーユ。

「ごめん。オレのせいだ」

少し哀しげに瞳を細めるカミーユに胸が壊れそうなほど、ドキドキした。

「…へ、平気!カ…カミーユもヒゲがずれてるよっ!」

ずれたヒゲを直そうとして彼の頬に近づけた手が、一瞬ですくい取られた。

カミーユはもう一方の手でヒゲを取り去ると、わたしを吸いこむように見つめた。

………カミーユ……?

「お前は絶対娼婦にはなれない」

「……なんで?そう言われるとなんか悔しいんですけど。女の魅力ないってこと?」








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