†神様の恋人†
ミシェルは、優しき少女ジャンヌのおかげで、すぐにダルク家に打ち解けることができた。

父ジャックは、優しく敬虔なクリスチャンだったが、村の名士らしく、頑固な面も持ち合わせていた。

ミシェルの親を探すと言って、妻のイザベルと口論することもしばしばだった。

イザベルはジャックよりもさらに深い信仰心に溢れていたために、ミシェルの親を探すことは神の意志に背くことだと信じていた。

ジャンヌとは20歳も歳の離れた長男ジャックマンは、日々の仕事を忠実にこなす真面目な男で家のことには無関心であったが、20歳の次男ピエールと15歳の三男ジャンは、妹たちやミシェルの面倒をよく見ていた。

特に快活な少年であるジャンは、ミシェルに羊の世話の仕方や、ドンレミ村での子供たちの遊び場などいろいろなことを教えてくれた。

ミシェルはジャンヌと13歳のカトリーヌと同じ部屋で就寝し、彼女らと同じように糸を紡ぎ、布地を縫い、家事をよく手伝った。

ジャックの必死の捜索にも関わらず、ミシェルの親はとうとうどこからも現れなかった。

だが、ミシェルは感謝さえしていた。


――――――温かいダルク家、そして、ジャンヌという天使に逢わせてくれた神に。


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