†神様の恋人†
「カミーユ…ありが…」

ありがとうと言おうとしたわたしの言葉をカミーユの声が遮る。

「さて、急がないと奴らに怪しまれる。オレとミシェルが既にイイ仲だって奴らに知れたら、男ってものは意外と嫉妬深いからね。こんな男女が密接した状況の中だと歯止めを効かすのも難しい。必ず人のモノを奪いたいという者が出てくる。しばらく娼館のベッドの続きはお預けだね」

艶っぽく口角をあげて微笑むカミーユに、わたしの心臓は最高潮に撥ねあがった。

「…カミーユ、その言い方なんかやらしい……。いっいつ…わたしとカミーユがイイ仲になったのよ?」

真っ赤になって言うと、カミーユはわたしの顎を持ち上げて、キスの寸前まで顔を寄せた。

「だ・か・ら、ベッドの上でオレが唇を覆いかぶせてこう…」

再現しようとするカミーユをわたしは慌てて突き放した。

「カ…カミーユが一番危ないじゃない…!!」

ゼイゼイと息を吐きながら、バクバクと激しい鼓動を手で抑えた。

「一番危ない、ね。素敵な褒め言葉をどうも」

「ミシェル―――?そろそろ行くよ!!」

ジャンヌがわたしを呼ぶ声が聞こえ、わたしはカミーユに背を向けて走り出した。

……もう、ほんとに危ないんだからっ!!

カミーユのばか!!




……………これ以上、わたしをドキドキさせないで――――。



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