†神様の恋人†
「それはもうおかしかったわよ。ものすごく笑っちゃった」

庭で陽射しを浴びながら話していたわたしとジャンの後ろから、ジャンヌが現れた。

「ボリスったら、ジャンには気づかなかったくせにわたしを見つけた途端、犬のように駆けてくるんだもの。ケガをした腕でわたしを抱き上げてそれはもう大騒ぎ」

ジャンヌはまた笑いを堪え切れないように笑った。

「ジャンヌ、おかげでオレは一人取り残されて必死でミシェルを探したんだ。冷たいよな、ボリスも。さっさとオレたちを置いてジャンヌと行っちゃうんだから」

ジャンはふてくされたように拳で膝を叩いた。

「そのことについてはボリスも謝っていたわ。ケガの痛みと空腹と戦いの恐怖、それらが混じって混乱していた時に、またわたしに逢えてあの時の感謝する想いを取り戻したって。戦争は、人を変えてしまう恐ろしいものだって…」

ジャンヌは庭から見える教会に向かって胸の前で手を組み、祈り始めた。

直後、鐘の音が響き渡る。

ぽかぽかと照りつける春の陽射しより、ジャンヌの姿が、眩しい。

ジャンもきっと、そう感じているはずだと、ジャンの眩しそうに細めた横顔を見て、そう思った。

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