†神様の恋人†
「『ジャンヌ、ずっと好きだったんだ。僕と付き合ってくれないかな?』…そう言われた」

その夜、隣のベッドのカトリーヌが寝てしまって、わたしとジャンヌが同じベッドに入り込んだ途端、ジャンヌが少し顔を赤らめて毛布の奥からつぶやいた。

「…え、本当に!?そ、それでジャンヌはなんて答えたの!?」

やっぱりフランクはあのあとジャンヌと二人きりになって告白したんだ。

わたしは興奮しながらも、毛布にもぐりこんで小声で話した。

「…わからなかったんだ。フランクのことが好きなのかどうか。好きだけど、それが恋なのかどうか」

戸惑いながらゆっくりと話すジャンヌに、わたしは少し興奮ぎみに彼女の腕を握った。

「まだわからなくていいじゃない。フランクはいい人だよ。いつかその好きが恋になるかもしれない」

わたしはジャンヌに恋をしてほしい一心だった。

なぜなのか、胸によぎる微かな不安。

「一度断ったんだ。そしたらフランクは待つって。まだジャンヌは誰のものでもないんだからって」

この恋に関しては、フランクは正しい。

ジャンヌは確かに、まだ、誰のものでもない。

恋に戸惑うジャンヌはいつもより少し子供みたいになった。

好意を寄せてくる男性には、まだ慣れていない。

もちろん、11歳のわたしもだけど。

ふと、カミーユのことを思い出した。

『男を甘くみるな』

そうだね、わたしはまだ、男性のことを何も知らない。

まだ幼いわたしたちは、戸惑うばかりだった。

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