†神様の恋人†
それから数日間。

ジャンヌは何度かフランクと引き逢わされた。

例によって、アンヌたちがおせっかいを焼いて、何かと二人を遭遇させるのだ。

最初は気まずい様子だった二人も、だんだんと打ち解けていった。

ジャンヌがフランクに恋をし始めていたのかどうかは、わからない。

でも、ジャンヌはある夏の午後、フランクとあの森で逢う約束を交わしていた。

それもジャンヌ自ら、誘ったらしいとの噂だった。

ジャンヌはあの夜以来、わたしにフランクのことを語らなくなった。

きっと恋に戸惑う自分が恥ずかしいのだろうと、わたしは思っていた。

そしてとうとう、フランクとの約束の日がやってきた。



――――それは、暑い夏の真っ盛りの正午のことだった。





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