†神様の恋人†
ジャンヌは少し走った所で、前を走るカトリーヌの腕をつかまえた。

遠目にも、カトリーヌがジャンヌの腕を振り切ろうとしているのがわかる。

そして、カトリーヌはなかなか諦めないジャンヌに、この言葉を投げつけた。

「離してっ!!レミが好きなの!!彼に愛されてるか試してみたかった…!!わたしが馬鹿だったの!!……伝えなきゃ…好きだって…花なんかいらないって……」

「…カトリーヌ!!今は無理だ!!一人で行っちゃ…」

「ジャンヌにはわからない!!ジャンヌは…恋をしたことなんてないじゃない!!!」

叩きつけるような言葉が、ジャンヌの胸を刃のように貫いた気がした。

ジャンヌは、傷を負った瞬間の兵士のように、全身から力を失い、石のように動かなくなった。

カトリーヌは、ただ走り出すだけでよかった。

力を失ったジャンヌの腕は、すぐにカトリーヌから離れた。

………ジャンヌ………!!






神様、なぜ、人間に“恋”を与えたのですか?

与えてくださったのなら、なぜ………



――――――ジャンヌから“恋”を奪ったのですか…………?





< 46 / 147 >

この作品をシェア

pagetop