†神様の恋人†
拳をぎゅっと握りしめて立つジャンヌにそっと近づいた。

「…ジャンヌ…」

「…ミシェル…父さんを呼んできて。わたしは行くよ」

「ジャンヌ!ジャンヌが行くならわたしも行く!!」

……ああ、神様……どうか、カトリーヌ姉さんも、ジャンヌも…わたしたちから奪わないでください。

どうか、ドンレミ村をお救いください……!!

「ミシェル。大丈夫だよ。わたしには“神の声”が聞こえるんだ。自分が正しいと思ったことに、迷ってはいけない。この3年間、ずっと迷ってきた。…でも、神は変わらずに、わたしに語りかけてくださるんだ。『ジャンヌ、正しくいろ』って」

……ジャンヌ………!!

ああ、やっぱり、神を語る時のジャンヌの瞳はとても美しい。

まるで、恋をしている少女のように。



―――――ジャンヌは、きっとまだそれを知らない………。




「……ジャンヌ―――――!!!」



名を呼んだ時には、既に遅かった。


ジャンヌは、ドンレミ村に向かって、自分の正しいと信じる道に向かって、



―――――――走り出していた。





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