†神様の恋人†
「８歳……わたしより２歳年下……」

ジャンヌは１０歳になっていた。

子供ながらに意志の強いその口許をきゅっと締めると、ジャンヌは母を仰ぎ見た。

「お母さん！神様の思し召しよ！この子、わたしの妹だわ！神様がジャンヌの願いを叶えてくれたの！」

イザベルは突拍子もない娘の言葉に、面を食らった。

「ジャンヌ、妹ってどういうことなの？」

頬を紅潮させ、白く透き通る少女の肌を見つめながらジャンヌは少し申し訳なさげに答えた。

「…ごめんなさい、お母さん。わたし、どうしても妹が欲しくて、この教会で神様にお願いしていたの…カトリーヌ姉さんのように素敵なお姉さんになってみたくて…」

「…ジャンヌ…！」

少し語気を強くした母に、ジャンヌは叩かれるかと顔をしかめた。

しかし、栗色のジャンヌの髪に降りてきたのは優しく包む母の手だった。

「…とにかくこの子を家に運びましょう。きっととても疲れているわ」

「……ありがとう、お母さん！！」



ミシェルがその澄んだ青色の瞳を開けたのは、翌日の朝のことだった。




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