†神様の恋人†
「酒乱とは失礼だね」

カミーユは小憎たらしげに笑う。

そして、わたしを壁に押し付けてわたしの金色の髪をひと房手に取った。

「カ、カミーユ…!?」

優しくわたしの髪に押し付けられるカミーユの唇。

「ちゃんと覚えてる。君の唇の柔らかさも。温かい舌も。なんだったらもっと詳細に話そうか?昨夜オレは嫌がる君に無理矢理唇を押し付け、舌を絡ませ…」

「あ――――!!!も、もういいぃぃ―――!!!」

慌てたわたしはカミーユの胸を両手でドンドンと叩きながら大声で叫んだ。

その声に驚いたのか1階からクロエおばさんが顔を覗かせて叫んだ。

「どうしたの?大丈夫?ミシェル」

「あ、えと…なんでもないです!!」

おばさんは訝しげな顔で「そう?」と言って戻っていった。

おばさんはカミーユがわたしに寄りかかっている図をどう思ったろう?

そしてさらに「…くっく…」と笑うカミーユに苛立ち紛れに言った。

「男って最低!!」

「くっく…ごめん。君みたいな純粋な女は初めてだったから。マドモアゼル。少し一緒に散歩しませんか?」


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