†神様の恋人†
カミーユの悔しそうな苦笑と、その話を聞いて、わたしは昨夜のカミーユの態度の意味が少しわかった気がした。

娼館にまで通って心配している元彼女に拒まれて、カミーユは傷ついているのかもしれない。

『娼婦しか欲しくない』ってセリフには、こういう意味があったんだ。

今でもまだ、その彼女のこと…愛してるのかな?

「カミーユ。その彼女、なんて名前なの?」

「…なぜ聞く?」

カミーユは訝しげに眉をひそめた。

「わ、わたしでも何か手助けできないかなって。おせっかいでごめんね。でも、カミーユが直接行っても会えないなら、他の人が行くのがいいんじゃないかなって思ったの。た、たとえばわたしとか!!」

「…ばかか?お前…」

カミーユは呆れたというようにため息をついた。

「お前みたいな子供が行くところじゃない。それこそ無理矢理娼婦にさせられてひどい目にあうぞ。ここは人さらいでも有名な悪徳娼館なんだ」

……ひ、ひとさらい…!?

その言葉にちょっとビビったけど、わたしはそこで諦めることができなかった。

「でも、それしか方法が…!」

少しもめている雰囲気のわたしたちをじろじろと見つめる浮浪者風の男が通りかかる。

わたしの顔を見て、いやらしくニヤリと笑う男に、背筋が寒くなった。

「…ほら見ろ。お前はどうも自分が女だって意識に欠けているようだが、男たちから見れば立派に女だ。少し若いことを除いても、お前は娼館にとっては上玉だろう。危険すぎるよ」



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