†神様の恋人†
「で、でも…じゃあ誰か男の人を…」

そう言いかけてやめた。

娼館にいる彼女のもとに他の男性を行かせるなんて、きっとカミーユが嫌なんだ。

それこそ「ばかか?」って言われるね。

そんなことを考えて、瞬間的に閃いたおもいつきに、わたしは嬉しくなってカミーユの腕をつかんだ。

「…カミーユ!!これしかないよ!!わたしが男になるの!!男装して娼館に乗り込む!!」

意気揚々と言ったわたしを見つめるカミーユのフランスの空のように青い瞳が、太陽の光を受けたように一瞬またたいて揺れた。

「ばかか?」って言われることを予測して恐る恐るカミーユを見つめていたわたしを、カミーユは身動き一つせず見つめる。

「カ…カミーユ…?」

瞬間、息が止まるほど、その広くて厚い胸に抱きしめられた。

「カ…ミ、ユ」

「…ばかやろう…メルシー……ミシェル」

……カミーユ………。

カミーユの腕が力強くて、彼の感謝の強さがわかった。

同時に、こんなに想われているその女性が羨ましかった。



神様……こんな感情、なんていうんですか―――――?




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