†神様の恋人†

囚われの娼婦

無理矢理連れてこられた場所は、娼館の地下だった。

ベッドの下の狭い隠し通路に押し込められ、そのまま地下へと追いやられた。

そして今、外への扉は固く閉ざされている。

「…ごめんなさい。わたしが取りみだしたせいね…」

冷たい地下の石の床に力なく座り込んでいるエリザが、遠くを見つめながら言った。

わたしもエリザもどうしていいかわからなず、とりあえず座り込むしかなかった。

「わたしこそ、ごめんなさい。男だって嘘ついて…」

カミーユの名前を出しただけであんなにも取りみだした彼女は、今は蒼ざめた顔で視線を彷徨わせている。

「あなた…本当はなんて名前なの?」

「…ミシェル…です」

「そう。その名前もぴったりだわ」

彼女は、少しだけ口の端を上げて笑った。

「……カミーユが、来てるのね…?」

彼女の声は少し、震えていた。

「はい。カミーユはあなたを助けたくてここに来たんです」

「…相変わらずなのね」

“相変わらず”という言葉に、彼女とカミーユとの間の特別な時間の長さを感じた。

「彼は冷たく見えて、おせっかいで、ヤキモチ焼き。もう愛していない昔の女にもこうして世話を焼きたがる」

「…そんな、カミーユはきっとまだ…」

“愛していない”なんて、彼女の思いこみのような気がしたけど、なぜか強く否定はできなかった。

「…いいの。わたし、彼にもう会えないし、会いたくないもの」





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