†神様の恋人†
なんだかすごく怖い顔でにらむカミーユにそれ以上何も言えなくて。

「…わかった」

そう一言だけ言った。

カミーユは少し安心したのか、表情を緩めると、わたしの腕を離した。

わたしもほっとして、ドアから離れ廊下へと歩み出る。

でも、その瞬間、先に廊下に出たわたしの後ろからついてくるはずのカミーユの足音が聞こえず振り返ると、ドアの隙間から部屋の中でうつ伏せに倒れているカミーユの姿が見えた。

「…カミーユ!?」

倒れているカミーユの金髪を愛おしげに撫でる娼婦の女が、わたしを見て勝ち誇ったように笑う。

そしてわたしが駆け寄るよりも先に、ドアは閉じられ、同時に鍵の閉まる音が響いた。

「…な、なにしたんですか!?ここを開けて!!……カミーユ…大丈夫!?」

激しくドアを叩いてもドアが開けられる気配はない。

……カミーユ……一体どうしちゃったの…!?

「お嬢ちゃん。そんなに心配しなくても大丈夫よ。少量のハーブから作った鎮静剤をさっき飲ませていたの。でもこんなにぐっすり眠ってくれるとは思わなかったわ。……でも本当にいい男ねぇ…?」

「…カ、カミーユをどうするつもり!?」

ドアの向こうから聞こえる色気のある声が、今はとても冷たく聞こえる。

「彼ったら散々誘ったのに、あたしに見向きもしないからちょっといじめてあげたくなったのよ。…このまま行かせるには惜しいほどのイイ男だし、ね。お嬢ちゃん、行きなさい。あなたは逃がしてあげると言ってるんだから、素直になったほうがいいわよ?」





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