雪が降った。そして君が。
「ゆ、き……?」
美帆が呟く。
閉められたカーテンの隙間からふわふわと舞っている白い雪が見え隠れしている。
僕は立ち上がり、勢いよくカーテンを開けた。
「また降ってきたんだな、さっきはもっと凄かったんだぞ?」
美帆の体を支えながら起こしてやる。
「――雪」
今度ははっきりと美帆がそう発し、僕ににっこりと笑いかけた。
僕の大好きな柔らかく優しい笑顔で。
その瞳には確かに僕が映っていた。
雪が降った。そして君が――笑った。
―Fin―