雪が降った。そして君が。
 離れた方が彼女のためになるのではないだろうか? 幾度もそう思った。

 でも、そんなこと出来なかった。同情? 責任感? そんなカッコいいものじゃない。ただ今度こそ美帆を守りたい……いいや、これもちょっとカッコつけてるな、きっと。全く懲りない僕だ。所詮、言葉や感情なんてその場限りの脆いものかもしれない。
 けれど僕は……そう、ただ彼女のそばにいたい。

「……ふっ」
 思わずそんなことを考えた自分に苦笑いしてしまう。
 ああ、いけない、急がなくては。

 先程までグレープフルーツくらいあった大きさの雪玉がいつの間にかミカンくらいになっている。僕は白い息をハァハァと乱しながら、足に一層力を込めた。

 ――違う。

 どうして僕はこうもカッコつけたがりなのだろう? そばにいたいなんて、全くベタな漫画の読み過ぎだ。
 そうじゃなくて……いやそうじゃなくないんだけれど、ああっ、もういい。
 とにかくこれを彼女に届けなければ。







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