雪が降った。そして君が。
「と、とりあえずさ、触ってみ?」
 相変わらず無反応な美帆の手を取り、雪だるまに近付けて触れさせた。

 その瞬間、冷たいという感触からだろうか、美帆の手がピクッと震え、指の先を少し丸めた。
「ご、ごめんっ。冷たかったよな」
 ああ、最悪だ。こんなもので喜ぶかもなんて、また単純な僕の脳はどうして思ってしまったんだろう。韓流ドラマじゃあるまいし。
 慌てて僕は美帆へと顔を向けた。


 その時だった。

 美帆が少し目を細め、口角を緩やかに上げた。
 ヘタレな雪だるまを眺めながら。


 僕は言葉を失った。
 と同時にくるりと美帆に背を向け、勢いよく駆け出していた。






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