雪が降った。そして君が。
僕は勢いよく病室の扉を開け、ベッドに駆け寄った。
「――美帆、ごめんっ」
ひとりにさせて。そう言葉を続ける前に僕は彼女を抱き締めていた。
美帆が手を伸ばし、無表情のままテーブルの上に出来た水溜まりを撫でていた。その上にあった情けない雪だるまの姿はもう影も形も無い。
ねえ、美帆。その濡れた手から、少しでも僕は君の中へと入れたのかな?
あのヘタレな雪だるまは――きっと僕。
「陽……斗」
僕の腕の中から聞こえた消え入るような声。少し鼻にかかった高い、愛しい声。僕の名前を呼ぶ声。一年ぶりに聞く君の声。
思わずまた涙が溢れ出そうになる。でも、僕はもう泣かない。涙を拭うのは君の頬だけだと決めたから。
「どうした? 寒いか?」
体を離し、慌てて彼女の冷たく濡れた手を握り締める。
美帆はゆっくりと首を横に振り、開いている方の腕を伸ばし、窓を指さした。
「――美帆、ごめんっ」
ひとりにさせて。そう言葉を続ける前に僕は彼女を抱き締めていた。
美帆が手を伸ばし、無表情のままテーブルの上に出来た水溜まりを撫でていた。その上にあった情けない雪だるまの姿はもう影も形も無い。
ねえ、美帆。その濡れた手から、少しでも僕は君の中へと入れたのかな?
あのヘタレな雪だるまは――きっと僕。
「陽……斗」
僕の腕の中から聞こえた消え入るような声。少し鼻にかかった高い、愛しい声。僕の名前を呼ぶ声。一年ぶりに聞く君の声。
思わずまた涙が溢れ出そうになる。でも、僕はもう泣かない。涙を拭うのは君の頬だけだと決めたから。
「どうした? 寒いか?」
体を離し、慌てて彼女の冷たく濡れた手を握り締める。
美帆はゆっくりと首を横に振り、開いている方の腕を伸ばし、窓を指さした。