Ⅰ.二日間の彼女
「…あ、康介。」
ベンチで胡坐をかいて空を眺めていた柳沢先輩が康介を呼ぶ。
「なんすか?」
「…また、その子連れてサッカーしに来いよ。」
軽く微笑んで、じゃあと夕陽に背を向けて帰っていく先輩。
「…おい、亜美行くぞ。」
「え、あぁ、」
「ボケッとしてんじゃねぇよ。ボケ子。」
そんな憎まれ口より、ボケッとしてたのは…
あの無愛想な柳沢先輩が、初めて微笑んだ顔を見て、ドキッとしたからだよ。