無口な王子様
プロローグ
梅雨の湿気を含んだ空気の間を一筋の冷たい風が、開け放した縁側の窓から吹き込んだ。
こんなに重たい空気が充満してるのに、どこから吹いてくるんだろう。
幼い頃からの疑問がよみがえる。
「風の通り道」
母親はそう言ってたっけ。
私はそんな事を考えながら、縁側で寝そべって雨に濡れた庭の草木を眺めていた。
この古い平屋建ての一軒家に住み始めて半年。
6畳の和室が二部屋、3畳の和室が一部屋の小さな家だけれど、最初の頃は古い家が持つ独特な空気になかなか慣れず、日当たりのいい明るい縁側で過ごす時間が多かった。
住み慣れた今でも自然と縁側が私の定位置になっている。
座布団を折り畳んで枕にし、ゴロゴロしながら庭(て言っても小さな庭だけど)の景色をぼんやり眺める時間が私の幸せだったりもする。
あぁ仕事しなきゃなぁ…
そう思いつつも、心地いい風に包まれてついうとうとする。
こんな瞬間に、ここに住めて良かったって心から思う。
こんなに重たい空気が充満してるのに、どこから吹いてくるんだろう。
幼い頃からの疑問がよみがえる。
「風の通り道」
母親はそう言ってたっけ。
私はそんな事を考えながら、縁側で寝そべって雨に濡れた庭の草木を眺めていた。
この古い平屋建ての一軒家に住み始めて半年。
6畳の和室が二部屋、3畳の和室が一部屋の小さな家だけれど、最初の頃は古い家が持つ独特な空気になかなか慣れず、日当たりのいい明るい縁側で過ごす時間が多かった。
住み慣れた今でも自然と縁側が私の定位置になっている。
座布団を折り畳んで枕にし、ゴロゴロしながら庭(て言っても小さな庭だけど)の景色をぼんやり眺める時間が私の幸せだったりもする。
あぁ仕事しなきゃなぁ…
そう思いつつも、心地いい風に包まれてついうとうとする。
こんな瞬間に、ここに住めて良かったって心から思う。