無口な王子様
余分に生地を買っておけばよかったと、今さら嘆いても買い足しにいける時間もない。

私はため息をついて、休憩する事にした。

「あれ?どうしたの?」

窓際でゆっくりコーヒーをすすっていた亜由美と優奈が、私を見上げる。

「ちょっと休憩ー!」

私は亜由美の隣にドカッと座った。

「後どのくらい?」

優奈の問い掛けに私は首を横に振ってから、机に突っ伏した。

「あと、ブラウスだけなんだけどね。裾のとこがキレイに縫えなくて。もうこれ以上失敗したら、生地が駄目になるよー。」

ひんやりした机にほてった頬をくっつけると気持ちがよかった。

「ちょっと気分変えたら上手くいくよ。焦ったら駄目だよ。」

優奈がそう言って、私の頭を撫でた。

私はそのままの姿勢で窓の外を見る。

今日は曇り空だ。今夜はきっと冷え込むだろう。
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