無口な王子様
「てかさ、その前に卒業だよね。」

亜由美がため息をつく。

「そうだね。学校が好きってわけじゃないけど寂しいかも。」

優奈も頬杖を付いて、遠い目をする。

「だよね、なんか辞めちゃいたいって何回も考えてたけど。いざとなると寂しいもんだね。」

亜由美が、学校に対して寂しいと思う感情があることに驚いた。

「それに、私達のいた場所が2年の子達の居場所になって、私達が知らない新しい一年が来るって変な感覚。
3年だからってある程度、自由に振る舞ってたけど、卒業したらまた1年生になって肩身狭い思いしなきゃだしね。」

優奈はそう言って、コーヒーカップに口を付けた。

「だね、私達がいた証拠みたいなのを残したいくらい。」

私が頷くと、亜由美が笑った。

「残せばいいじゃん。証拠!」
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