無口な王子様
私が同意すると、亜由美は

「スコップ用意しなきゃ!」

と、ウキウキした様子で手帳を取り出して卒業式の日に丸をつけた。

「何年後かに出した時、そのときの自分に失望しないようにがんばらなきゃね。」

「優奈なら大丈夫だよ。きっと夢叶えてるよ。」

うん、絶対にそうだ。

優奈も亜由美も確実な将来像があるんだから。

私こそ、がっかりしないようにしなきゃ。

幼い頃の将来の夢と、今の夢は現実味や重みが全然違う。

だからこそ、今の心境を未来に残すのはいいアイデアだと思う。

「絶対に笑えるようにしなきゃだね。」

私は、自分に言い聞かせるように呟いた。
< 142 / 205 >

この作品をシェア

pagetop